道灌の祖父資房は和歌の達人であり、父資清(道真)も歌人として京の文壇にも聞えた武人であった。道灌には三代にわたる歌人の血が脈々と流れていたのである。 元国定教科書掲載の「山吹の里」挿絵 道灌といえば必ず出てくる「山吹の里」の逸話がある。若い頃彼は武勇にふけって風雅を解さず狩猟を最も楽しみとしていた。 ある日近郊へ狩に出かけて俄か雨にあい、とある農家に立ち寄って蓑(みの)の借用を頼んだところ、出てきたその家の少女が今を盛りの山吹の一枝を黙って道灌に捧げた。彼は山吹にこめられた少女の謎がわからず不快の思いで雨中を帰館したのである。のちに老臣から少女の行為が実は古歌にことよせたものであることを知らされ、己の無知を深く恥じ、それ以来歌道に励みその道の達人になったというものである。
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